PICTURE BOOK

「もりねこ」(文研出版)

文 くさかみなこ 絵 品田紗桜里

 

あるところに おおきな おおきな ねこがいました。
ねむっているすがたは まるで もりのようです。


うまれたときは、ふつうの大きさでしたが、どんどん大きくなり、

 

森の木々よりも大きなねこになりました。
そんなねこを、森の動物たちは、怖がり、避けるようになりました。
それから なんねんも なんねんも もりねこは ひとりぼっちでした。

「ひとりぼっちも きらくでいいさ」

ある日、もりねこの背中に、小鳥たちがやってきました。
その後、どんどんいろいろな動物たちも

もりねこの背中に住み着くようになって……。

 


第10回武井武雄記念 日本童画大賞 絵本部門「ミライ賞」受賞

「かいじゅう シタムキー」

さばくにすむ かいじゅう シタムキーは、

まいにち したばかり みている。

 

「やい、よわむし シタムキー!

きょうも したばかり みていて くらいやつ!」

わたりどりに からかわれるけれど、

シタムキーは ますます したをむく。

シタムキーは いじわるな わたりどりが すきではなかった。

 

ずいぶん むかし、シタムキーが まだ うまれたばかりのころ。

うえを むいていたら、

3かい つづけて ちょっと いやなことが あったのだ。

こわがりな シタムキーは、それから ずっと したをむいている。

 

あるひ、シタムキーが あいかわらず したを むきながら 

さばくをあるいていると、ちいさな こえが きこえた。

「あついよー たすけてー」

こえのするほうを みると、

ちいさな きいろいはなが なんだか しおしお。

「あついよー あついよー おみずが のみたいよー

このままじゃ カラカラになって かれちゃうよー」

 

こわがりな シタムキーが、ものしりな たんぽぽに であって

もういちど うえを むくまでの おはなし。


「瞼の裏側の世界」

私は幼い頃、よく空想をしては

その世界に浸って遊んでいました。

あの不思議でおかしな世界観こそが

今の私の作風の原点であると考えています。

「あの感覚をいつまでも忘れずにいたい」

そんな想いから、”空想の世界に住む”

50体のキャラクターたちを制作し、

その後紆余曲折を経て

巨大なポップアップブックに

まとめることとなりました。